糖尿病を放置していませんか?
下記のような症状・お悩みがある方はご相談ください
- 他医院で治療しているが血糖値が上昇している
- 健康診断や通院中の血液検査で高い血糖値やHbA1cが判明した
- 治療薬の副作用やリスクが心配
- 正常な血糖値でも他の症状や合併症が進行している
- 栄養に関する専門的な相談が必要
- インスリン治療やGLP-1治療を検討中
積極的な相談と適切な治療が合併症の予防につながります。
糖尿病の治療でお悩みの方へ
糖尿病の治療においては、様々な原因や病態が存在します。生活習慣が原因であることもありますが、痩せていても、食事に注意していても、運動していても発症することがあります。これは、生まれつきの体質で体内のインスリン分泌や生成力が弱い、肝臓や甲状腺の病気が関与しているなどの理由が考えられます。朝から高血糖の方や食後の血糖スパイクが顕著な方、低血糖と高血糖を繰り返す方など、様々な状態が存在します。
当院では患者様一人ひとりの状態に合わせ、納得いただける治療法を提案し、患者様が安心して治療を受けられるよう心がけています。
糖尿病とは
糖尿病は血液中のブドウ糖が正常値を超え、慢性的に高い状態が続く病気です。通常、食事を摂ると血糖値が上昇し、膵臓から分泌されるインスリンによって調整されます。しかし、インスリンの分泌不足や働きが弱まることで、血糖値が上昇し糖尿病が引き起こされます。初期段階では自覚症状がほとんどなく、気付かないことが多いため、放置すると合併症が発生しやすくなります。
三大合併症として知られる糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害は、失明や透析、手足の切断などの深刻な状態に至る可能性があります。早い段階での医療機関受診と血糖値のコントロールが重要であり、健康診断で高い血糖値やHbA1cが検出された場合は、迅速な対応が求められます。
糖尿病のタイプ
糖尿病は、血液中のブドウ糖が正常値よりも高い状態が慢性的に続く疾患であり、主に1型糖尿病と2型糖尿病の大きく2つに分けられます。全体の95%以上が2型糖尿病であり、日本人の40歳以上では3人に1人が糖尿病やその予備群に該当しています。
1型糖尿病
1型糖尿病は、ウィルス感染後などに自己免疫学的機序によって膵臓のインスリンを分泌するβ細胞が壊れてしまい、インスリンの生成が停止することで高血糖状態が引き起こされる病気です。通常、小児期に急激な発症が見られるため、かつては「若年型糖尿病」とも呼ばれました。しかし、成人でも発症することがあります。罹患者数は2型糖尿病に比べて少ないですが、年間1万4千人の新規患者が発生しており、全国で約21万人が治療を受けています。地域による発症率の差は見られません。
2型糖尿病
2型糖尿病は生活習慣病であり、遺伝的な要因や肥満、ストレス、運動不足などが原因となります。メカニズムとして、インスリン分泌障害やインスリン抵抗性が生じ、血糖値が慢性的に高くなります。特に40歳以上の人に多く見られ、早期発見で生活習慣改善が効果的な場合もありますが、進行がみられる場合は内服薬や自己注射治療が必要とされます。
2型糖尿病の発症リスクが高い方
- 頻繁に外食をし、食事内容の管理が難しい
- 早食いや過食
- 肥満
- 習慣的な飲酒があり、アルコール摂取量が多い
- 日常的にストレスを感じ、適切なストレス管理ができていない
- 移動手段が主に車であり、歩行が少ない
- 血縁者に糖尿病の既往歴がある
- 血縁者に心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の既往歴がある
など
早期の受診が必要な症状
糖尿病は進行するまで症状が表れにくいため、以下の症状が見られたら早急に医療機関を受診することが重要です。
- 異常に喉が渇く
- 過剰な水分摂取が続く
- 食事後2~3時間で空腹感が再び現れる
- 食べているにもかかわらず体重が減少
- 尿の回数や量が増加
- 夜中に頻尿が起こる
- 倦怠感や疲労感が強い
- 足のしびれやむくみ
- 休憩なしで歩けない
- 呼吸が切れやすい
- 目のかすみや急激な視力低下
- 視界が暗くなる感覚
これらの症状が見られた場合、早期の診断と治療が合併症の予防に繋がります。医師の指導を受けながら、適切な検査と治療を行うことが大切です。
その他のタイプ
1型糖尿病や2型糖尿病以外にも、薬の副作用や他の疾患、遺伝子異常などにより、インスリンの働きが低下したり分泌が止まったりして糖尿病を発症することがあります。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、妊娠中に発見される糖代謝異常で、母体の高血糖が胎児にも影響を与える可能性があります。合併症を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
お母さん
- 羊水量の異常
- 肩甲難産
- 妊娠高血圧症候群
- 網膜症・腎症などの発症および悪化
- 胎児の合併症
赤ちゃん
- 形態異常
- 巨大児
- 流産
- 低血糖
- 多血症
- 心臓の肥大
- 電解質異常
- 黄疸
- 胎児死亡
など
食事や運動でのコントロールが難しい場合は、インスリン治療が必要です。当院では妊娠糖尿病の妊婦に対し、栄養指導や適切な治療を提供しており、かかりつけの産婦人科との連携を強化しています。
糖尿病の診断
糖尿病の診断には主に血液検査を行い、以下の3つの指標を参考にします。
1)血糖値
血糖値は血液中のブドウ糖の濃度を測定する指標です。そのため、血糖値は食前と食後で変動します。食事とは無関係に測定される血糖値を「随時血糖値」と呼びます。一方で、一日の中で最も低くなる時間帯の血糖値を「空腹時血糖値」と言います。この値は、前日夜9時以降に絶食し、翌朝食前に採血することで測定されます。
糖尿病の診断条件として、随時血糖が200mg/dL以上、空腹時血糖が126mg/dL以上とされています。一方で、正常な血糖値は、空腹時血糖が110mg/dL未満であり、食後2時間の血糖が140mg/dL未満とされています。これらの数値は、健康な血糖管理を示す基準となります。
2)75gOGTT
経口ブドウ糖負荷試験で、75gのブドウ糖を摂取して血糖値と血中インスリンの推移を確認します。2時間値が200mg/dL以上ならば糖尿病と診断されます。
3)HbA1c
過去1~2ヶ月の平均血糖値を示す指標で、HbA1cが6.5%以上ならば糖尿病と診断されます。
糖尿病の診断値
(1)随時血糖200mg/dL以上かつ空腹時血糖126mg/dL以上
(2)75gOGTTで2時間値200mg/dL以上
(3)HbA1c 6.5%
1~3の1つ以上該当するものを糖尿病型、1~2のいずれかに該当しており3も満たす場合、糖尿病と診断されます。
抗GAD抗体、インスリン分泌能・インスリン抵抗指数
1型糖尿病の可能性を確認するため、初診時には抗GAD抗体の測定を行います。これは1型糖尿病の自己免疫性疾患の指標であり、抗体の検出が一般的です。
また、膵臓の機能を評価するためには、インスリン分泌能やインスリン抵抗指数が必要です。これらは空腹時の採血によって血糖値、血中インスリン、血中Cペプチドを測定し、総合的な判定が行われます。これにより、効果的な治療方法や薬剤の選択に役立つ情報を得ることができます。
糖尿病の治療
糖尿病の治療は、高血糖を改善し合併症を予防し、一般の健康寿命を維持することを目指しています。治療手段は主に食事療法、運動療法、薬物療法の組み合わせに焦点を当てています。
初めに、食事療法と運動療法の見直しを行います。これにより、2~3ヶ月での改善が期待されます。食事制限や運動の導入を通じて、血糖値の管理を行います。食事療法や運動療法が効果的でない場合、患者様に適した薬剤を使用します。
高い血糖値やHbA1cが初回診断時からみられる場合は、初期から薬物療法が始められることもあります。1型糖尿病では、膵臓のインスリン分泌が低下しているため、治療にはインスリン製剤が欠かせません。
食事療法
- バランスのとれた食事が重要で、糖質、たんぱく質、脂質の摂取を調整
- ゆっくりよく噛んで腹八分目までに抑え、寝る前の食事は控える
運動療法
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、自転車、水泳など)と無酸素運動(筋力トレーニング)の組み合わせが重要
- ウォーキングは1回15~30分、1日2回、1日1万歩以上が目安
- 無酸素運動は週2~3回、大きな筋肉を中心に行うことで、有酸素運動の効果が増強します
薬物療法
- 経口血糖降下薬とインスリン製剤が主な治療法
- 種類によっては心臓や腎臓を保護し、抗動脈硬化作用もある
- 薬剤によっては食欲や代謝への影響で体重が変動する
SGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬は新しい作用機序の糖尿病治療薬で、尿中にブドウ糖を排出し血糖値を低下させます。特に2型糖尿病においては第一選択薬とされ、血糖低下作用がありながら低血糖リスクが少ないのが特徴です。尿中に糖分が排出されるため、膀胱炎や不快感が生じることもあります。
DPP-4阻害薬
DPP-4阻害薬は2型糖尿病治療に広く使われ、高血糖時にインスリン分泌を促進する作用があります。低血糖のリスクが低く、確実な食後血糖改善効果がありながら、体重増加が少ないため、患者様にとって使いやすい薬剤です。通常、SGLT-2阻害薬との併用が行われ、これらを組み合わせた薬剤も市販されています。
ビグアナイド
ビグアナイドは、SGLT-2阻害薬が登場する以前に広く使用されていた第一選択薬で、その薬価が非常に安い特徴があります。作用機序としては、肝臓での糖新生を抑制し、末梢組織での糖の取り込みを促進し、腸管での糖の吸収を抑制することで血糖降下効果を発揮します。
一方で、ビグアナイドの使用には乳酸アシドーシスといった重篤な副作用があり、約1万人に1人程度の発症率が報告されています。また、腎機能障害やアルコール多飲者には避けるべきであり、ヨード造影剤の使用時には一時的に中止する必要があります。さらに、嘔吐や下痢などの一般的な副作用も生じることがあります。
スルホニル尿素(SU)類、速効型インスリン分泌促進薬
スルホニル尿素(SU)類および速効型インスリン分泌促進薬は、主にインスリンの分泌を促進して血糖降下作用を引き起こします。DPP-4阻害薬とは異なり、血糖値にかかわらずインスリン分泌を刺激します。これにより、強力な血糖降下効果が期待できますが、その反面、低血糖が出現しやすいという特徴があります。
SU類には代表的な薬剤としてグリミクロンやオイグルコンがあり、速効型インスリン分泌促進薬にはグルファストやシュアポストが挙げられます。これらの薬剤は、患者様の個別の病態や症状に応じて適切に選択され、使用されることがあります。
チアゾリジン誘導体
チアゾリジン誘導体は、脂肪細胞の分化を促進し、インスリン抵抗性を改善して血糖値を低下させる作用があります。ただし、この薬剤にはいくつかの懸念事項が存在します。まず、その副作用として体重増加が挙げられ、また水分を溜め込む作用があるため、心不全が悪化するリスクがあります。心不全のリスクが高まる心筋梗塞、狭心症、心筋症、高血圧性心疾患などの心疾患を抱える患者様には、この薬剤の使用には慎重さが求められます。
α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)は、小腸で糖の分解を抑制し、それによって糖の消化・吸収を遅くさせる作用があります。これにより、血糖の上昇とインスリン分泌のタイミングを調整し、食後の高血糖を抑えることが期待されます。α-GIの使用による重篤な副作用はほとんど報告されておらず、比較的安全な薬剤とされています。
ただし、服用初期には腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘などの腹部症状が生じることがありますが、これらの症状は徐々に軽減することが一般的です。α-GIは通常単独での使用では低血糖を引き起こすことはまれですが、他の薬剤との併用時には低血糖に注意する必要があります。