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気管支喘息

気管支喘息とは

気管支喘息は気道の慢性炎症による気道壁肥厚による狭窄と、気道が過敏になることで攣縮(れんしゅく)が生じさらに変動性の気道狭窄を起こし、咳や息苦しさ、喘鳴(呼気に気道でヒューヒュー音が鳴る状態)などが症状として現れる疾患です。アレルギーによるものとされてきましたが、最近の研究でアレルギー以外の炎症も関与することが明らかになり、病態は複雑です。まだ解明されていない側面も多く、異なるパターンがある可能性がありますが、詳細な分類や結論は得られていません。

気管支喘息の診断に関して

気管支喘息の診断には、呼吸困難、喘鳴、胸の息苦しさ、咳の反復などの臨床症状や、可逆性の気流制限、気道過敏性の亢進、気道炎症の存在、アトピー素因、他疾患の除外などの要素が参考にされます。ただし、これらの特徴が揃っていなくても気管支喘息の可能性があるため、診断は非常に難しく、呼吸器疾患に精通した医師による詳細な診察が必要です。特定の特徴や検査結果だけで確定的に診断できる基準は存在しません。

気管支喘息の診断

気管支喘息の問診・聴診に関して

気管支喘息は難しい病態と診断が特徴的であり、適切な治療のためには丁寧な問診や適切な検査による正確な診断が必要です。気軽に気管支喘息と診断されることで、不必要な治療や生活の制約が生じるリスクがあるため、慎重な診断が求められます。

問診では咳のきっかけや症状、アレルギーの有無、特定の場所や時間での発症などを詳しく探ります。他の疾患との区別も重要で、健康状態や生活環境を考慮しながら診察を行います。問診後は聴診を通じて喘鳴の有無を確認し、気管支が狭まっている可能性を検証します。

気管支喘息の特有の症状や検査結果だけで確定的に診断するのは難しく、検査結果の解釈は患者様によって異なるため、専門の医師による詳細な診察が不可欠です。

気管支喘息の診断の検査について

気管支喘息の診断において、問診で可能性を探った後、まず胸部レントゲン検査が一般的に行われます。この検査では気管支喘息そのものは確認できませんが、他の咳や呼吸困難を生じる疾患の除外が目的です。具体的には肺炎、結核、肺癌などが胸部レントゲンで確認でき、これらの疾患の早期発見や治療のために重要です。

気管支喘息が疑われた場合、呼気一酸化窒素(NO)検査や呼吸機能検査が行われます。呼気NO検査はアレルギーの炎症を示す物質であるNOの量を測定し、アレルギー性の炎症の程度を評価します。呼気NOの値が高い場合、アレルギー性の炎症が強い可能性があり、気管支喘息の診断に近づきます。呼吸機能検査では肺活量や1秒量という肺活量のうち何%を1秒間で吐けるかという検査を行います。

気管支喘息の治療が必要な場合、血液検査も行われることがあります。腎機能や肝機能などの詳細な検査は、治療に使用する薬物が適切であるかどうかを確認するためです。また、炎症反応や感染の有無も検査され、適切な治療計画が策定されます。

 

気管支喘息の治療に関して

気管支喘息の治療は以下の2つに分けられます。

長期管理治療:喘息の炎症を抑え続け、喘息の悪化を予防する治療

発作治療:喘息の発作時に症状を和らげる治療

多くの方は発作時の治療を求めることが一般的ですが、現在の気管支喘息のガイドラインでは長期管理治療が非常に重要視されています。これは、喘息の発作を繰り返すと気管支が固くなり、治療が難しくなる「リモデリング」が進むためです。

気管支喘息はストレス、過労、風邪などが誘因となり発作が起こりやすい病気です。これらの誘因は回避が難しく、予測できないことが多いため、長期管理治療が重要です。発作が起きないと症状がなくなったと感じる方もいますが、気管支喘息は症状がなくても進行する可能性があります。

当院では症状が安定した患者様にも呼気NO検査や呼吸機能検査を提案しています。これらの検査で、症状が安定している状態でも気道の炎症がどの程度存在するのか、気道の狭窄がどの程度存在するのかを評価し、継続治療が必要かどうかを判断します。

気管支喘息発作の治療

気管支喘息の発作は特に上気道の感染症を併発した時や花粉症の時期でアレルギー症状が起きやすいとき、台風直後などで気圧の変化が大きいときに症状が悪化することが多くなります。気管支喘息発作時の治療では、まず吸入薬もしくはネブライザーと呼ばれる機械を使用して気管支を拡張する治療を行います。症状が改善しない場合や最初からひどい場合、呼気NOが高い場合は、ステロイドとアミノフィリンの点滴を行うことがあります。

治療中には酸素状態をモニタリングし、点滴と吸入で症状を和らげます。気管支喘息の発作の原因が感染症の時は、同時に採血を行い炎症反応を確認します。炎症反応が高い場合は抗菌薬が必要なこともあります。